カッペッラーノ / バローロ・キナート・ヴィーノ・アロマティッツァート
私の大伯父ジュゼッペは、最終的には薬学部を卒業した、バローロ・キナートの創始者である。公証人をしながらワイナリー経営に乗り出した一族に生まれた彼は、1885年には本格的にワインの仕事に携わりたいと考えていた。つまりワイン造りは私で4代目になるわけだ。19世紀末は画期的な時代だった。薬剤師たちが、コカコーラやヴェルモット、今でも飲まれているアマーロやハーブティーの大部分のレシピを考案したのが、ちょうどこの頃のことだ。それまで経験だけに頼っていた薬学は、科学的な根拠にも重きをおくようになった。と同時に、当時の人びとは薬草についての基本的な知識ももっていた。残念ながら現代人は、豊富な科学知識はもっていても、アロマにはすっかり鈍感になってしまった。このままいくと、お粗末なワインばかり造られるようになり、バローロ・キナートの質をまたもやどん底に貶めてしまう危険がある。私が唯一自負しているのは、しかるべき品質のバローロ・キナートを復興したことだ。現在のバローロ・キナートが頂点を極めているとしたら、それは私の努力の賜だ。私は常に最高のものを造ってきたのだから。 【italiae】