ライヴ・イン・東京 1986 [DVD]
???エリック・クラプトンのパフォーマンスは常に素晴らしいと言われるが、この『エリック・クラプトン・アンド・フレンズ・コンサート1986』は予想以上だ。アルバム『オーガスト』の収録中に行われたこのライヴには、おなじみのグレッグ・フィリンゲインズ(キーボード)、ネイザン・イースト(ベース)が参加し、プロデューサーでもあるフィル・コリンズがドラムを担当している。考えるだけでも魅力的なパフォーマンスなのだ。
???1986年7月15日、英国、バーミンガムのナショナル・エキシビション・センターで行われたライヴは、英国のTV局によって収録された。その模様を1時間の長さに編集したものが今回の作品だ。時間は短くなっても、フルのライヴの輝きはそのままだ。最良のバンド構成に恵まれたクラプトンは、リラックスして楽しんでいるように見える。そして、ブルージーなリフを刻み、フェンダーのストラトキャスターを、まるで体の一部であるかのようにかき鳴らす。往年の名曲「クロスロード」、「ホワイト・ルーム」、「いとしのレイラ」(今回のように「庭の木」が入ったバージョンはなかなか聴けない)、「サンシャイン・ラヴ」はクリームやヤードバーズ時代からのファンを満足させるだろうし、『オーガスト』からの新しい曲も同じように魅力的だ。美しい「ホリー・マザー」は、夜眠りに着く前に心を落ち着かせてくれるだろう。フィル・コリンズのヒット曲「夜の囁き」がセットリストに名を連ねているのはうれしい驚きだ(彼のソロ第一作であるこの曲がヒットチャートの上位に登場していたころである)。
???しかし、エネルギーや精密さ、ファンへのアピールといった観点から見ると、平均的かもしれない。視覚効果の仕上がりは、ごく一般的である(ビデオで撮影された映像には色の粗い個所もある)。DTSオプションを使用すれば、音質の面では合格点をつけられる。完ぺきな人間はいないように、「サンシャイン・ラヴ」でクラプトンが歌詞をとちると「ごめん!」と書かれた吹き出しが頭の上に飛び出るのは面白い一幕だし、楽しいロックの夕べを収めた一品である。(Jeff Shannon, Amazon.com)