アリー my Love シーズン3 vol.5 [DVD]
???デビッド E・ケリーが製作・脚本を手がけた『アリー my Love』は、彼自身の弁護士時代における経験や私生活が密接に重なり合っている。ケイジ&フィッシュ法律事務所では何から何まで、それこそトイレに行くという行動さえも、誰もがそれを分かった上で行っている。ケリーは、そのことでドラマがテンポ良く展開し、まとまりが見られるのであれば、筋書きに信じ難いほどの偶然の一致が重なったとしても、それを当たり前として進んで受け入れている。
???サード・シーズンの第1話は、ヒロインらしからぬアリー・マクビールが洗車場でジョエル(ジェイソン・ゲドリック)と言葉も交わさずに関係を持ってしまうことで始まり、自分のクライアントから花嫁付添い人を頼まれて出席した結婚式で、予想通りジョエルに再会してしまう。勤務する事務所からは全員が参列しているなかで、アリーは果して新郎との関係を黙っていられるのであろうか。恋愛事に関しては長続きした例がないアリーだが、同時に、彼女がとても強く意識するテーマでもある。サード・シーズンでは、アリーの考えたことや妄想したことがCGIで表現されるシーンは減っているが、それでもこのドラマは色鮮やかに描かれている。ビリーは男性と女性の力関係に対する関心がますます高まり、それが髪をブロンドに染めたり、セクシーなドレスを身にまとった6人の美女を回りに侍らせて、自分の性的魅力を高めようとするなどの行動となって現われる。そのほかの見所は、アリーがレズビアンの相手を求めてリンに出会う場面や、性的に自信をなくしたジョンのためにエレインが「充電屋」になってあげる場面、あるいはアリーの家で開いた感謝祭の乱痴気パーティなどである。シリーズ3には、もっともらしさを拡大解釈した筋書きもある。例えば、アリーの父親はジョージアが抱擁した男だったが、彼女がそうしたのは自分の夫がブロンドに髪を染め、性差別主義者で極めて自己中心的な男に変わってしまったという事実を忘れるためだったのである。『アリー my Love』は、受け入れにくいお涙頂戴的なナンセンスに陥る傾向があるが(例えば、第11話における「子供ができたの」的ナンセンス)、そうした点を別にしても、現実をしばし忘れさせてくれる第一級の娯楽作品に仕上がっている。(Emma Perry, Amazon.com)