極道の妻たち 三代目姐 [DVD]
???おそらくは「極道の妻」シリーズ最大の異色作にして、最も母性的な姐が登場する作品。シリーズ3作目の極妻には三田佳子が扮し、構成員1万5000人の大組織・坂西組の四代目の座を狙う幹部たちの争いを描く。
???組長と共に組を切り盛りしてきた古参の幹部・成田三樹夫と、組長夫妻に可愛がられた萩原健一の若頭の対立を縦軸、三田の組長夫人とかたせ梨乃のクラブのママの女の戦いを横軸に置いた構成。おもしろいのはその中核にいる萩原と三田の、疑似親子的関係の描写である。その微妙なやりとりは、時に近親相姦的なニュアンスを漂わせつつ、跡目争いの殺伐たる描写の中にインモラルな香りを匂わせている。結局萩原は三田でもかたせでもない、若い清美(吉川十和子)を選んだ後に殺されてしまう。亡き組長の遺した遺書を破棄し、自ら坂西組を背負う決意をするクライマックスの三田の表情は極道ではなく、まぎれもなく母親のそれである。(斉藤守彦)